現在準備中の「(仮称)中国ECフォーラム」に関連して、打合せの機会を持たせていただいた日経BP社さんから、見本誌をいただきました。
日経ビジネス2009年11月30日号『中国、独り勝ちの代償~格差市場でつかむ日本の勝機~』
きしむ“底上げ”経済
暴れ始めた3つの歪み 調和か成長で2派対立
2012年、「ポスト胡錦濤」の行方 “矛盾”で儲ける
内需拡大路線を勝ち抜く条件とは 識者が語る 転換の行方
内政
エズラ・ボーゲル [米ハーバード大学名誉教授]
外交
ハリー・ハーディング [米バージニア大学バッテンスクール学部長]
経済
関 志雄 [野村資本市場研究所シニアフェロー]
経営
宋 文洲 [ソフトブレーン創業者]
↑こちらの宋文洲氏の記事・P.41の見出しが「中国リスクなんてない」です。
記事になったインタビューが、『日経ビジネスオンライン』に掲載されていますので、一部引用して紹介させていただきます。
―― 伸びる中国市場でいかに収益を伸ばすか。景気低迷や高齢化社会の進展で国内市場の縮小が見込まれる日本企業にとっては重要な課題です。一方で、中国では外国企業に対する規制が厳しいとか、知的財産が守られないとか、様々なリスクがあります・・・
あのね、そういう「中国には特有のリスクがある」みたいな話、僕は適当ではないと思っているんです。僕はあるIT(情報技術)系企業のアドバイザーにもなっていましたが、その会社は不思議なほど儲からない。うまく行かないと必ず中国のせいにするんですよ。あれがダメだ。これがダメだとね。
でもそれは負け犬の言い訳でしかありません。同じ土俵で戦っているはずの米IBMはなぜ儲かっているんでしょうか。儲かっていないのはやり方が間違っているからですよ。リスクは外部にあるんじゃない。内部に潜んでいるんです。
中国は自国企業を優遇しているという話だって、ある意味では当たり前ではないですか。日本だって米国だって、自国産業を保護するような政策はあります。中国人からすれば「あなたたちのために中国は経済成長しているのではない」というのが、偽らざる心境でしょう。
どこの国にもリスクはあり、同時に成長の余地はある
おっしゃる通りだと思います。
戦争・紛争・疫病など、一民間企業の力では抗いようのないリスクを別にすれば、アメリカにもヨーロッパにも、さらには日本国内にも規制やリスクはゴロゴロ転がっているのではないでしょうか?
◆石橋を叩いて渡らない
これも一つの選択ですね。
◆石橋を壊して鉄橋を作ってから渡る
現代のスピード感では現実味が。。。w
ここで、「リスク」だけにとらわれるのではなく「機会」を見極めるヒントとして、宋さんの記事のお隣り・関志雄氏の記事から引用します。
広東省では「ルイス転換点」
軽工業から重工業化、さらには脱工業化に伴う変化も見られます。キーワードは「ルイス転換点」ですい。工業化の過程では、農業部門の余剰労働力が工業部門に吸収されていきます。
この工業化の流れの中では、ある時点で農業部門の余剰労働力が底を突き、工業部門で完全雇用が達成されます。これがルイス転換点です。転換点を通過した以降は、雇用の需給が逼迫し、賃金の上昇が始まります。
この「賃金上昇」は日本の製造業にとってはリスクかもしれませんが、EC・ネット通販を含む小売・サービス業にとっては「顧客の所得向上」という機会になります。
その分、欧米や韓国など日本以外の国々との販売競争も激しくなるわけですが、それは日本国内でも変わりません。
二番底が不安視され、景気の先行きに明るさが見いだせない現状であればなおさら、日本国内のリスクも無視できない状況にあります。
ドバイ危機は原油購入機会 中国 - goo ニュース
このニュースのように、バイタリティに溢れどんどん先を行く中国
最後に、日経ビジネス・P.25に掲載されていたグラフを紹介しておきます。
2010年の世界経済の成長に占める各国・地域の貢献度シェア
BRICs、強いですねぇ
参考 ルイスの転換点 - Wikipedia
ルイスの転換点とは、工業化の過程で農業部門の余剰労働力が底をつくこと。
イギリスの経済学者、アーサー・ルイスによって提唱された概念。
工業化前の社会においては農業部門が余剰労働力を抱えている。工業化が始まると、農業部門から工業部門へ余剰労働力の移転が始まる。工業化が順調に進展した場合、農業部門の余剰労働力は底をつき、工業部門により農業部門から雇用が奪われる状態となる。この底を突いた時点がルイスの転換点である。
ルイスの転換点以降は、雇用需給が締まるため、賃金率の上昇が起きる。労働力の不足(人手不足)状態となるため、経済成長のプロセスにおける重要な転換点となる。
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