2009-04-21

【転載】ブログのアクセス数を増やすのにTwitterのようなミニブログ・マイクロブログは欠かせなくなる?

※本エントリーは休止予定サイトに投稿した内容の転載です。



昨日、『人と企業の未来を切りひらく、マーケティングソリューションカンパニー・株式会社シナプス』の『代表・家弓正彦さんのブログ』でコメントしてきた件、

質問コメントが追記されていたので、ブロガーっぽく(笑)トラックバックでお返しいたします。


初心者のためのブログアクセスアップの技術 @ ロジックとパッションの狭間から。。。(家弓正彦のマーケティングブログ)
今年から心を入れ替えて(笑)、積極的にブログに取り組んでいます。
せっかくですから、私の知人にもいろいろ教えてもらいながら、
そもそもブログのアクセスアップを図るための技術を整理してみました。

この、「パワーブロガーになるためのブログ活性化テクニック(?)に関する“まとめ”記事」にあった

Twitterってどうなのかな?

という一行に反応して、下記のようにコメントさせていただきました。

Twitterですが、つぶやくかつぶやかないかは別にして、アカウントだけは取っておかないと!でしょうね。

当社の場合、
・会社ブランド
・商品ブランド
でアカウントを取り、

ブログorコンテンツ更新
  ↓
Twitterに自動で書き出し
  ↓
個人アカウントではFacebookに自動で書き出し

なんていう感じで、コミュニケーション・ロスの防止に努めております。


以下、このコメントに記したメソッドとその目的について補足させていただきます。


▼まずはこの記事をズズッと下の方までスクロールしてみてください。

会社ブランド『webarkのTwitterアカウント』と、商品ブランド『sellingclubのTwitterアカウント』それぞれの“つぶやき”が、ブログパーツとして表示されています。

「おっ、それうちもやってみたい!」と思った方は、その実現方法をGoogle先生に聞いてみましょう。

※そもそも、「やりたいこと」「さがしているもの」を検索エンジンで見つけるテクニックが身についていない方やその労を惜しむ方は、パワーブロガーには向いていないでしょうから要注意。^^;


ご参考までに、わたしが探した時のワーディングは下記の通り。


ブログ twitter feed の検索結果 約 101,000,000 件

ブログ更新によって自動的に吐き出されるfeed(RSS/ATOM)を自分のtwitterアカウントにこれまた自動で投稿できるようにしてくれる『twitter feed』の使い方を見つけてください。


twitter ブログパーツ の検索結果 約 2,110,000 件

今度は逆に、twitterへの投稿をブログに表示させるブログパーツ『twitter widgets』(ウィジェット)を生成し自分のブログに貼り付けて、自身のTwitterアカウントを認知してもらえる状態を作ります。
※ウィジェットの貼り付けに対応していないブログサービスを利用している方は、この機会に乗り換えなきゃですね。


▼なぜこのようにオタッキーなことが、「コミュニケーション・ロスの防止」になるのか?

接触していただけるメディアやチャネルの選択肢を増やす。

これだけでした。大そうなこと言ってすみません。

「多層構造で着実に接触するメディア」の勝手なイメージ図
写真素材 PIXTA
(c) スミスジョージ写真素材 PIXTA


当ブログも『SellingClubの公式サイト』も、RSSリーダー向けにfeedを配信しているだけでなくメールソフトでも受信できるように、Seesaaブログ標準のRSS配信ではなく、Google先生が買収した『feedbunner』のサービスを利用しています。

これまでのWebマーケティングにおけるコミュニケーション手段はメールマガジン/メールニュースが中心で、これはウェブアークのECパッケージ「SellingClub」の導入先でメルマガ作成・配信機能がご好評いただけていることからもそうそう変わらない位置付けでしょうから、更新情報をメールで通知できるサービスは捨て置けないですね。

とはいえ、わたしのメールボックスには、1日に500通ぐらいのメールが着信しています。※あれこれ配信登録しすぎですね。

その中で配信当日に開封して目を通せる数には限りがあるわけでして、「RSSリーダーやtwitterなど他のチャネルでもよいから、グッド・タイミングで認知できる手段を用意していただけるとアクセスしやすいのにな。」と常々感じているわけです。

そんな思いというか願いというか、ネット活用におけるメディア・チャネルの展開に関して記したのが下記の寄稿でした。

【コラム】 MOTTAINAI ~なぜショッピングセンターは、もっともっとネットを【活用】しないのか?~を、SC JAPAN TODAYに寄稿しました。
【メールマガジン】:能動的な接触頻度・低い、収益連動度・高い
ホームページの更新性を補完するツールとして、ショッピングセンターのイベントやニュース、テナントからのニュースなどを配信し来店を促すツールだが、あくまでも提供者側からの一方向的なプッシュ・ツールであり、顧客側は常に受身の状態にある。

【ブログ・SNS】:能動的な接触頻度・高い、収益連動度・低い
「Web2.0」や「CGM・ユーザー参加型メディアの浸透」と言われる昨今、ネット・ツールを利用する難易度が急速に下がり、特別なスキルを必要とせずに誰でも気軽にどこからでもネットでコミュニケーションできる時代。ショッピングセンターの運営者によるスタッフブログだけでなく、テナントの店長やスタッフが顧客と直接・双方向でコミュニケーションできるようになることで、ES(従業員参加型)とCS(顧客参加型)の両立・連動を実現し、「ライフスタイルセンター」を具現化させることの可能なツールとして、今後ショッピングセンター業界でも広まる可能性が高い。

この、「直接・双方向でコミュニケーションできる」ことを容易にするために「メディアやチャネルの選択肢を増やす」を図式化すると、こんなステップになるでしょうか?

△ Web単独
△ メルマガ単独
△ Web+メルマガ
○ Web(ブログ)のRSS配信+メルマガ
◎ Web(ブログ)のRSS配信+メルマガ+ミニブログ・マイクロブログ
◎ Web(ブログ)のRSS配信+メルマガ+ミニブログ・マイクロブログ+SNS(コミュニティ)

逆にこれぐらいの手を打っていかないと、総務省の『ブログの実態に関する調査研究』レポートで“国内に1,690万サイトある”といわれるブログの中で、「アクセスを増やす」という目的・目標を実現するのは容易ではないと思います。

ウェブアークの場合は、前記の「Web(ブログ)のRSS配信」のその前に「ECサイト+」がつくわけで、そこから派生する「ECサイト・ECモール運営者のブランドと顕在/潜在ターゲットとの接触頻度を増やす」という目的に対して試行検証しなければいけませんので、ウェブアーク自身が運営する『中国市場向けECモール』が公開できるようになった暁には、当ブログでも中国支社のスタッフに投稿してもらいつつ、『中国モールのtwitterアカウント』も始動させられるようアカウント取得を終えています。


最後に、ここまでお読みいただいてアレなんですが、もし『Twitterとは』という方がいらっしゃるようでしたら、わかりやすいチャートを見つけましたので、ご紹介しておきます。

Twitterが秘める可能性をマインドマップ風に図解した一枚の画像 - IDEA*IDEA ~ 百式管理人のライフハックブログ ~
で、Twitterって何がすごいの?と言われたときに使えそうな画像がアップされていましたよ。Twitterの可能性をマインドマップ風に図解しています。これはわかりやすい。


早速追記:

せっかくなんでちょっと違う角度から、プロの方々が公開してくれている情報もピックアップしておきます。

SEOやSMMのためにブログを作ったらまずやることリスト - ソーシャルメディアマーケティング(SMM).jp 2008年12月 5日
プラグインやテーマの追加、変更はおいておいて、ブログを立ち上げたらまずやることリストをこのエントリにまとめていこうと思います。見つけたもの、思い出したものを順次追加していきます。

これもやっといたほうがいいよ!というものがあればコメントもらえるとうれしいです。


Twitterを使って、セミナーやカンファレンスのオーディエンスとリアルタイムにやり取りできる『セミッター』の使用例

「MIRAI:ネットとガジェットの融合」議事録&会場からの投稿リスト|イベントレポート|Alpha Bloggers 2008年10月30日
当日は「Twitter」でリアルタイムに議事録を書き、「セミッター」で会場からのリアルタイム投稿をスクリーンに映しました。そのログのURLを以下に付記します。
ご興味がある方は、イベント写真ギャラリーとあわせて、ぜひご覧ください。


ガラパゴス・ケータイでつぶやくなら『モバツイッター

iPhone版もあります。

モバツイッターを利用している人だけが有効に活用できるTwitterクライアント『iMovatwitter』 |iPhoneアプリケーションマガジン
 2009年04月14日
『iMovatwitter』は、モバツイッター開発者の、モバツイッター開発者による、モバツイッター利用者のためのiPhoneアプリだ。モバツイッターを利用していない人がインストールしても満足できないだろう。


さらに追記@2009-04-24

企業のTwitter活用法は4つ――Gartnerが報告 - ITmedia News
 Twitterは個人ユーザーから企業にも広がりつつあり、企業のTwitter利用には4つのパターンがある。米調査会社Gartnerは3月26日、このような調査結果を発表した。

 Twitterは140文字の「つぶやき」をネットで配信できる「マイクロブログ」サービス。コンシューマー向けのサービスだが、企業も活用に乗り出しており、企業向けのTwitterも計画されている。Gartnerは、2011年には企業向けマイクロブログは80%のソーシャルソフトで標準機能になると予測している。

 Gartnerによると、企業は以下の4つの方法でTwitterを活用している。

Direct:マーケティング・PRチャンネルとしての利用
まさしく「コミュニケーション・チャネル」ですね。

Indirect:社員がTwitterを利用して個人の評判を高め、それが会社の高評価につながる
ES(従業員満足)なければCS(顧客満足)なし

Internal:社員が自分の仕事や思いついたアイデアについて投稿
アウトプット・チャネル

Inbound Signaling:Twitterから顧客やライバルの情報を拾い上げる
インプット・チャネル


Twitterって本当にマーケティングに使えるの?|Sphinn Japan Blog
日本でも利用者の増えてきたTwitterですが、マーケティングに利用しているビジネスはまだまだ少ないようです。

Twitterがマーケティングに使えるのかどうか、疑問に思っている方も多いのではないでしょうか?

Twitterのマーケティングと、ブログやメールのマーケティングとで大きく違う点が一つあります。

それは、ブログやメールのマーケティングは『具体的なメッセージ』を読者に伝えるのに適しているのに対して、Twitterは『イメージ』や、『ブランド』を確立するのに適している点です。
本質的には、「コミュニケーションに取組む姿勢」と言えるのでしょうか?


ネットの逆流(16):狙われた“つぶやき”――Twitterに仕掛けられたワナ (1/2) - ITmedia エンタープライズ
リンクをむやみにクリックしてはいけない?

 4月12日、米TwitterはXSS脆弱性を突いたワーム攻撃を受けたが、対処したことを明らかにした。「stalkdaily.com」というWebサイトを宣伝する“つぶやき”のURLをクリックすることで感染し、感染したユーザーは同じつぶやきを投稿してしまう。さらに「Mikeyy」という単語を含んだ変形版も広がっており、今後も同種の変形版が発生する可能性があると注意を喚起している。
こういったネガティブ要素は、ある程度の規模(キャズム?)を超えたWebサービスの有名税のようなものですね。


「Twitterでマーケティング」日本ではハヤらない? - SEO対策の薬箱
古い、新しいっていう考え方よりも、幅をどこまで広げることができるのかがマーケティングの「できる」だと思います。
深イイですね

2009-04-19

【転載】あなたの顧客はあなたのことをどれぐらい知っていますか?

※本エントリーは休止予定サイトに投稿した内容の転載です。



BtoB・法人営業で昔から言われることの一つに「自分を売れ」ってのがありますが、今日はEC・ネット通販における「自分を売れ」について考えてみたいと思います。

「楽天市場・Yahoo!ショッピング・Amazonなどのショッピングポータルでは、顧客はあくまでもこれらポータル・ブランドを売主と捉えている。」

「すなわち、多くの顧客は、あなたのお店やあなたの名前を覚えていない。」

「なぜなら、買おうとした商品の検索結果を“価格が安い順”などで並び替えて、一番安かった“レジ”(あなたは“お店”だと思っているが)で買っただけだから。」

という現実があるようです。

これは、百貨店やスーパーで空いているレジを見つけるのと同じような自然な行動であり、あなたのお店=レジがたまたま空いていただけ、ということです。

これが本当に現実だとして、あなたはどう感じましたか?

何か不安にかられたり、何かしようと思いついたりしてしまいましたか?

あるいは、「EC・ネット通販なんてそんなもんさ」とケセラセラでしたか?

前者・後者どちらの反応も、正解であり、かつ不正解なのかもしれません。

そもそも、「自分を知ってもらいたい・認めてもらいたい」なんて身勝手な売込み姿勢だけが前面に出ていては、余程お人好しの消費者でない限りあなたに興味を持ってくれることなどありえないでしょう。

逆に、「あなたの顧客は誰ですか?」にきちんと答えられる方であれば、前記のような議論は必要ないでしょうし、不安にかられることもないのでは?

「自分を知ってもらいたかったら相手を知れ、興味を持て、そしてそのことを正しく伝えろ」

恋愛でも友人付き合いでも営業でも言われる、「コミュニケーション」の基本中の基本。

その献身的な姿勢が先にあり、その活動をコツコツと積み重ねていくことで、ようやく顧客はあなたの存在を認知して、反応を示してくれるようになるのではないでしょうか?

「あなたの顧客は、あなたが期待しているほどあなたのことを知らないし、興味もない。」

「逆にあなたは、顧客のことを知ろうと常日頃から努力しているし、そのことをきちんと顧客に伝えられるよう日々真剣に考えている。」

あぁー、なんとすさまじい純愛ドラマでしょう。

でもこれが、有史以来続いている「商い」における不変の活動=マーケティングの一端なのだとしたら、少し真剣に「あなたの顧客」について考えてみる気になってしまったのではないでしょうか?

実はわたくし、下記の記事を読んでみてそう感じてしまったものですから、脊髄反射的にこのエントリーを書いてしまっただけなんですけどね。^^;


ネット通販って、利用者も企業も幸せにするの?(後編) | Web担当者Forum 2009年4月16日
ネット通販は不況知らず……でも、利用者側に良いことばかりではない?

この消費不況が起こっているなかで、EC市場は順調に伸びているんだ。楽天は2008年12月期の経常利益は過去最高を記録したし、「Yahoo!ショッピング」も同年12月の取扱高が過去最高となった。ネット通販は不況知らずという感じだけど、それだけ利用が多いということだね。

「所長K」さん、わたしが存じているあの方なのであれば、本当に人望の厚い、そして熱いお方です!!
「スタッフS」さんは、もしかしてマイミクさんかな?(笑)

店舗では、限られた棚の中で陣地取りをしていて、どんなに大きな専門店でも旬の商品しか置けない。それに対してネットでは、店の棚に並ばないような商品まで可能性が広がったからね。

ネット通販の「買いやすさ」は、利用者にとってマイナスだとまではいわないものの、気をつけないといけない点だとはいえるだろうね。

1点しか在庫がない死に筋商品も、100点在庫している売れ筋商品も、フラットに陳列されているのがEC・ネット通販の特徴的なところですが、トップページでのバナー広告などには、やはりスペースの制約があることは気をつけないといけないところですね。

通販企業は、楽天やヤフーが出てくる何十年も前から通販をやっているわけだが、ネットは、自分で情報を検索して、価格が一番安いところ、送料が無料のところなど、横串で比較できる。今までのカタログ通販は、カタログの中でしか商品を選べないから、同じ「通販」といってもネット通販のビジネスモデルは既存のカタログ通販のものとまったく違うといえるね。店舗と通販以上の差があるんだ。
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店舗とカタログ通販の違いより、カタログ通販とネット通販の違いの方が大きいということですか?

これは興味深い。歴史あるDM学会だからこその切り口ですね。

・リアル店舗の売り場
・カタログ内部の売り場
・ネット上の売り場

それぞれの売り場づくり=お買い場の特性によって、陳列や導線も変わってくるということは周知の事実ですが、同じ無店舗販売のカタログとネットとの相違が大きいということは、この記事を見るまで気づきませんでした。

通販会社がネット通販をやるときに難しいことは、たとえばモールに出店すると、利用者はそのショップではなく大手モールから買っているという意識になること。楽天に出店している約2万7千店舗のうち、名前を覚えてもらっているショップはほんのわずかだろう。僕もそうだが、一度利用したお店を覚えていないんだ。(社)日本通信販売協会で行ったネット通販調査でのグループインタビューでも、どのショップで買ったか聞くと、大手モールの名前を挙げる人がほとんどだった。

この部分が起点になって、このエントリーを書かせていただいた次第です。

JADMA・日本通信販売協会』のリサーチデータも公開されていますので、ぜひ前編・後編を通して「あなたの視点」で読み解いていただければと。


リラックスして通販カタログを見る女性
写真素材 PIXTA
(c) Stargazer写真素材 PIXTA

こういう優雅なイメージは、EC・ネット通販では想像しにくいですね。^^;

2009-04-07

【転載】MOTTAINAI ~なぜショッピングセンターは、もっともっとネットを【活用】しないのか?~を、SC JAPAN TODAYに寄稿しました。

※本エントリーは休止予定サイトに投稿した内容の転載です。


社団法人 日本ショッピングセンター協会が発行するショッピングセンター専門誌、月刊「SC JAPAN TODAY」(ショッピングセンター・ジャパン・トゥデイ)にコラムを寄稿しましたので、本サイトのトピックスとして掲載・公開いたします。

なお、誌名の通りショッピングセンターのことを業界内部では「SC」と略称されているため、寄稿文では「SC」と記載しておりましたが、こちらでは「ショッピングセンター」という表記に置き換えています。


社団法人 日本ショッピングセンター協会のホームページ

SC JAPAN TODAY -雑誌のネット書店 Fujisan.co.jp


以下、「SC JAPAN TODAY」April, 2009、P.70からP.72に掲載された寄稿文



MOTTAINAI ~なぜSC・ショッピングセンターは、もっともっとネットを【活用】しないのか?~


 当社ウェブアークは、「IT・インターネットの活用による流通革新への貢献」をミッションとする企業として、1月に開催された「SCビジネスフェア2009」に初出展させていただいたが、ありがたいことにこの出展を契機として、数件の商談が発生し現在進行中である。

 今回は、その商談の中で聞かせていただいたショッピングセンターの課題の中から、ふつふつと生じてしまった疑問を起点に、ショッピングセンターの「ネット活用」について仮説ベースで考察してみたいと思う。※ということで、「ネットなんぞは小売・サービス業の敵だ」といったお考えをお持ちの読者は、以降読み進められないことをおすすめする。


▼疑問が生じてしまった起点

 まず、商談開始に当たって、当社にリクエストしていただいた課題をご覧いただきたい。

 ・A社:ショッピングセンターのホームページを構築したい

 ・B社:折込みチラシの代替となるケータイ・プロモーションを導入したい

 ・C社:デジタルサイネージを導入したい

 どの課題も、大変ありがたいリクエストである。ただ、既にお気づきかと思うが、どれもこれもが5W2Hで言うところの「how to」ツールをお求めなのである。唯一C社だけが最初から、「アナログ看板の更新コストがバカにならないので、費用と工数を削減したい。」といった「why」の要素を提示してくださったが、「how to」にお応えできる要素は「how much」すなわち「とりあえずの御見積り」になってしまい、「what」すなわち「どんなことを実現できればよいのか?」といった提案の余地が薄いところが疑問なのである。

 この疑問とは、ショッピングセンター業界からのリクエストが「提案依頼」ではなく「見積り依頼」であることなのだ。これはすなわち「【活用】ではなく【利用】に留まったお考えをお持ちのクライアントが多いのではないか?」という仮説となって筆者の脳内に滞留してしまっている。

 なぜなら、当社の主たる商材「ECモール構築パッケージ」の特性もあって、流通・サービス業を含む他の業種・業態からのリクエストは「提案依頼」がほとんどなのである。また、先の3つの商談ケースに共通して、各分野それぞれで本誌にも広告出稿されているような専門特化されている事業者が数多くいらっしゃる中で、なぜ当社にお声掛けいただけたのかも不思議な点ではあるが、これについては、「SCビジネスフェア2009」の出展社の中で、いわゆる「ネット業界」からの出展社が当社以外に見当たらなかったこともあったので、「とりあえずラッキーだった」と割り切っている次第である。


▼【活用】と【利用】の違い

 当社は、IT・インターネットを【活用】していただき、クライアントのビジネスに直接貢献することを企業ミッションとして掲げているが、頂戴しているリクエストが【利用】に留まっている点で、ショッピングセンター業界におけるネット活用の進化度合いは、「まだ、トライ&エラーを繰り返す段階」と見て、イノベーター理論における「イノベーター(革新的採用者)」ないしは「アーリー・アダプター(初期少数採用者)」の段階と仮説立てている。

 では、このネットの【活用】と【利用】の差にはどんな要素があるのか、4つの代表的なネット・ツールと消費者・生活者(ネット利用者)との接触頻度および収益連動度の高低を図式化したマトリックスで考察してみる。


       図1.ネット・ツール【活用】の充足レベル
※ここでは、PC・ケータイというデバイス対応の充実度は問わず。


                       生活者の(能動的な)接触頻度
200904_sc.jpg




収益連動度











 まず、読者諸兄が関与されているショッピングセンターが、4つのツールを充足しているかいないかで、【活用】レベルを確認していただきたい。すべて揃っているのであれば、【活用】レベル最高点のイノベーターとして内外に自慢していただいていいだろう。


【ホームページ】:能動的な接触頻度・低い、収益連動度・低い

営業時間や施設案内・フロアガイドなど「一方的な情報発信」に留まるWebサイト。新規来店予備軍のアクセスは見込めるが、個々のテナントの商品やサービスが個別具体的に最新の情報として掲載され続けていかなければ、少なくとも頻度は高まらない。


【メールマガジン】:能動的な接触頻度・低い、収益連動度・高い

ホームページの更新性を補完するツールとして、ショッピングセンターのイベントやニュース、テナントからのニュースなどを配信し来店を促すツールだが、あくまでも提供者側からの一方向的なプッシュ・ツールであり、顧客側は常に受身の状態にある。


【ブログ・SNS】:能動的な接触頻度・高い、収益連動度・低い

「Web2.0」や「CGM・ユーザー参加型メディアの浸透」と言われる昨今、ネット・ツールを利用する難易度が急速に下がり、特別なスキルを必要とせずに誰でも気軽にどこからでもネットでコミュニケーションできる時代。ショッピングセンターの運営者によるスタッフブログだけでなく、テナントの店長やスタッフが顧客と直接・双方向でコミュニケーションできるようになることで、ES(従業員参加型)とCS(顧客参加型)の両立・連動を実現し、「ライフスタイルセンター」を具現化させることの可能なツールとして、今後ショッピングセンター業界でも広まる可能性が高い。


【EC・ネット通販】:能動的な接触頻度・高い、収益連動度・高い

旧来からの「共働き」や「高齢化」に加え、昨今の「消費不況」プラス「巣ごもり消費」といったトレンドから、「いつでも(24時間365日)」、「お店に行かなくても(自宅や職場、商圏外からも)」購買できてしまう「エブリタイム・エブリウェア消費」の時代と言えるであろう。

これをショッピングセンターで実現するには、個々のテナントがチェーンとして実施しているEC・ネット通販の存在など色々な制約が生じるが、例えばネット販売までは行わなくとも、ショッピングセンターのホームページをECシステムで構築することで、テナントの商品やサービスについて価格を含め具体的に陳列していくことは可能になるので、「ネットで探してお店に行く」といった購買行動は捕捉できるようになるが、「店舗で見た商品を、後からネットで吟味して買う」という購買行動は取りこぼす。

また、ショッピングセンターのポイントカードのような特典との連動策によって、CRMやデータベース・マーケティングに必要なデータを蓄積するデータウェアハウスとしての機能を有する点もECシステムの特徴である。

ただ、クーポン券のような店舗への送客機能が盛り込まれていない場合はテナント店長のインセンティブが働かないため、テナントと一体となった運営が実現可能な機能についても見落とせない要素である。


 ショッピングセンターが【活用】可能なネット・ツールの代表的なところをピックアップして考察してみたが、特に当社の得意分野である「EC・ネット通販を持ち上げすぎではないか」と読み取られるかもしれないものの、ショッピングセンターが「収益事業」であることから、収益に貢献するための【活用】という観点で、あえて「EC・ネット通販」を厚めに考察してみた次第である。

 すなわち、「活用と利用の違い」とは、「収益に貢献するか否か」である。この時の【利用】策はコストであり、「下げる・減らす」施策に留まってしまう。一方の【活用】策は、収益拡大・事業成長とった「増やす・伸ばす」施策を指し示すキーワードと位置付けさせていただきたい。

 余談だが、昨今の「IT」は、「コスト(費用・時間)の削減手段」という「下げる・減らす」ための"哀しげ"なキーワードになってしまっているようなので、当社ではあえて、「IT化」ではなく「ネット活用」という、「増やす・伸ばす」ための"楽しげ"なキーワードを多用していることを補足しておく。


▼ネットの【活用】の目的・ゴールとは

 ネットの【活用】とは、「増やす・伸ばす」ための未来像を掲げながら手段を講じることである。すなわち、「顧客(来店者、ネット会員)」や「売上・利益」を「増える・伸びる」ことが目的であり、その状態を改善・進化させ続けることがゴールである。

 最後に、ここまで駄文をお読みいただき、「ネットを【活用】していこう」と想起いただけた読者に向け、「ネット活用の目的を達成する3つのステップ」を提言させていただく。


1.まず、ショッピングセンターや店舗という、ネット上では容易に実現できない「リアル・コミュニケーションの"場"」を有していることに、絶対的な自信と誇りを持つ。

2.次に、その「リアルな"場"」に参加できない顧客を捕捉し続けるために、「バーチャルでもコミュニケーションできる"場"」として「ネット」を位置付け、施策を講じてみる。

3.その上で、「ネット上のショッピングセンター」を、オンライン/オフラインなどという狭義のチャネル論で区分するのではなく、地域の顧客の思考・記憶の中で圧倒的なマインドシェアを有する「ノンラインな顧客参加型マーケティングの"場"」に昇華させるよう、全体最適の視点で運営する。


 末筆ながら、ショッピングセンター業界にとってまったくの新参者の当社に、このような寄稿の機会を与えてくださった編集ご担当に深謝申し上げつつ、ここまで読み進めていただいた読者諸兄のビジネスの益々のご発展を、ウェブアーク一同が心から祈念していることを表明させていただく。