2009-04-07

【転載】MOTTAINAI ~なぜショッピングセンターは、もっともっとネットを【活用】しないのか?~を、SC JAPAN TODAYに寄稿しました。

※本エントリーは休止予定サイトに投稿した内容の転載です。


社団法人 日本ショッピングセンター協会が発行するショッピングセンター専門誌、月刊「SC JAPAN TODAY」(ショッピングセンター・ジャパン・トゥデイ)にコラムを寄稿しましたので、本サイトのトピックスとして掲載・公開いたします。

なお、誌名の通りショッピングセンターのことを業界内部では「SC」と略称されているため、寄稿文では「SC」と記載しておりましたが、こちらでは「ショッピングセンター」という表記に置き換えています。


社団法人 日本ショッピングセンター協会のホームページ

SC JAPAN TODAY -雑誌のネット書店 Fujisan.co.jp


以下、「SC JAPAN TODAY」April, 2009、P.70からP.72に掲載された寄稿文



MOTTAINAI ~なぜSC・ショッピングセンターは、もっともっとネットを【活用】しないのか?~


 当社ウェブアークは、「IT・インターネットの活用による流通革新への貢献」をミッションとする企業として、1月に開催された「SCビジネスフェア2009」に初出展させていただいたが、ありがたいことにこの出展を契機として、数件の商談が発生し現在進行中である。

 今回は、その商談の中で聞かせていただいたショッピングセンターの課題の中から、ふつふつと生じてしまった疑問を起点に、ショッピングセンターの「ネット活用」について仮説ベースで考察してみたいと思う。※ということで、「ネットなんぞは小売・サービス業の敵だ」といったお考えをお持ちの読者は、以降読み進められないことをおすすめする。


▼疑問が生じてしまった起点

 まず、商談開始に当たって、当社にリクエストしていただいた課題をご覧いただきたい。

 ・A社:ショッピングセンターのホームページを構築したい

 ・B社:折込みチラシの代替となるケータイ・プロモーションを導入したい

 ・C社:デジタルサイネージを導入したい

 どの課題も、大変ありがたいリクエストである。ただ、既にお気づきかと思うが、どれもこれもが5W2Hで言うところの「how to」ツールをお求めなのである。唯一C社だけが最初から、「アナログ看板の更新コストがバカにならないので、費用と工数を削減したい。」といった「why」の要素を提示してくださったが、「how to」にお応えできる要素は「how much」すなわち「とりあえずの御見積り」になってしまい、「what」すなわち「どんなことを実現できればよいのか?」といった提案の余地が薄いところが疑問なのである。

 この疑問とは、ショッピングセンター業界からのリクエストが「提案依頼」ではなく「見積り依頼」であることなのだ。これはすなわち「【活用】ではなく【利用】に留まったお考えをお持ちのクライアントが多いのではないか?」という仮説となって筆者の脳内に滞留してしまっている。

 なぜなら、当社の主たる商材「ECモール構築パッケージ」の特性もあって、流通・サービス業を含む他の業種・業態からのリクエストは「提案依頼」がほとんどなのである。また、先の3つの商談ケースに共通して、各分野それぞれで本誌にも広告出稿されているような専門特化されている事業者が数多くいらっしゃる中で、なぜ当社にお声掛けいただけたのかも不思議な点ではあるが、これについては、「SCビジネスフェア2009」の出展社の中で、いわゆる「ネット業界」からの出展社が当社以外に見当たらなかったこともあったので、「とりあえずラッキーだった」と割り切っている次第である。


▼【活用】と【利用】の違い

 当社は、IT・インターネットを【活用】していただき、クライアントのビジネスに直接貢献することを企業ミッションとして掲げているが、頂戴しているリクエストが【利用】に留まっている点で、ショッピングセンター業界におけるネット活用の進化度合いは、「まだ、トライ&エラーを繰り返す段階」と見て、イノベーター理論における「イノベーター(革新的採用者)」ないしは「アーリー・アダプター(初期少数採用者)」の段階と仮説立てている。

 では、このネットの【活用】と【利用】の差にはどんな要素があるのか、4つの代表的なネット・ツールと消費者・生活者(ネット利用者)との接触頻度および収益連動度の高低を図式化したマトリックスで考察してみる。


       図1.ネット・ツール【活用】の充足レベル
※ここでは、PC・ケータイというデバイス対応の充実度は問わず。


                       生活者の(能動的な)接触頻度
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収益連動度











 まず、読者諸兄が関与されているショッピングセンターが、4つのツールを充足しているかいないかで、【活用】レベルを確認していただきたい。すべて揃っているのであれば、【活用】レベル最高点のイノベーターとして内外に自慢していただいていいだろう。


【ホームページ】:能動的な接触頻度・低い、収益連動度・低い

営業時間や施設案内・フロアガイドなど「一方的な情報発信」に留まるWebサイト。新規来店予備軍のアクセスは見込めるが、個々のテナントの商品やサービスが個別具体的に最新の情報として掲載され続けていかなければ、少なくとも頻度は高まらない。


【メールマガジン】:能動的な接触頻度・低い、収益連動度・高い

ホームページの更新性を補完するツールとして、ショッピングセンターのイベントやニュース、テナントからのニュースなどを配信し来店を促すツールだが、あくまでも提供者側からの一方向的なプッシュ・ツールであり、顧客側は常に受身の状態にある。


【ブログ・SNS】:能動的な接触頻度・高い、収益連動度・低い

「Web2.0」や「CGM・ユーザー参加型メディアの浸透」と言われる昨今、ネット・ツールを利用する難易度が急速に下がり、特別なスキルを必要とせずに誰でも気軽にどこからでもネットでコミュニケーションできる時代。ショッピングセンターの運営者によるスタッフブログだけでなく、テナントの店長やスタッフが顧客と直接・双方向でコミュニケーションできるようになることで、ES(従業員参加型)とCS(顧客参加型)の両立・連動を実現し、「ライフスタイルセンター」を具現化させることの可能なツールとして、今後ショッピングセンター業界でも広まる可能性が高い。


【EC・ネット通販】:能動的な接触頻度・高い、収益連動度・高い

旧来からの「共働き」や「高齢化」に加え、昨今の「消費不況」プラス「巣ごもり消費」といったトレンドから、「いつでも(24時間365日)」、「お店に行かなくても(自宅や職場、商圏外からも)」購買できてしまう「エブリタイム・エブリウェア消費」の時代と言えるであろう。

これをショッピングセンターで実現するには、個々のテナントがチェーンとして実施しているEC・ネット通販の存在など色々な制約が生じるが、例えばネット販売までは行わなくとも、ショッピングセンターのホームページをECシステムで構築することで、テナントの商品やサービスについて価格を含め具体的に陳列していくことは可能になるので、「ネットで探してお店に行く」といった購買行動は捕捉できるようになるが、「店舗で見た商品を、後からネットで吟味して買う」という購買行動は取りこぼす。

また、ショッピングセンターのポイントカードのような特典との連動策によって、CRMやデータベース・マーケティングに必要なデータを蓄積するデータウェアハウスとしての機能を有する点もECシステムの特徴である。

ただ、クーポン券のような店舗への送客機能が盛り込まれていない場合はテナント店長のインセンティブが働かないため、テナントと一体となった運営が実現可能な機能についても見落とせない要素である。


 ショッピングセンターが【活用】可能なネット・ツールの代表的なところをピックアップして考察してみたが、特に当社の得意分野である「EC・ネット通販を持ち上げすぎではないか」と読み取られるかもしれないものの、ショッピングセンターが「収益事業」であることから、収益に貢献するための【活用】という観点で、あえて「EC・ネット通販」を厚めに考察してみた次第である。

 すなわち、「活用と利用の違い」とは、「収益に貢献するか否か」である。この時の【利用】策はコストであり、「下げる・減らす」施策に留まってしまう。一方の【活用】策は、収益拡大・事業成長とった「増やす・伸ばす」施策を指し示すキーワードと位置付けさせていただきたい。

 余談だが、昨今の「IT」は、「コスト(費用・時間)の削減手段」という「下げる・減らす」ための"哀しげ"なキーワードになってしまっているようなので、当社ではあえて、「IT化」ではなく「ネット活用」という、「増やす・伸ばす」ための"楽しげ"なキーワードを多用していることを補足しておく。


▼ネットの【活用】の目的・ゴールとは

 ネットの【活用】とは、「増やす・伸ばす」ための未来像を掲げながら手段を講じることである。すなわち、「顧客(来店者、ネット会員)」や「売上・利益」を「増える・伸びる」ことが目的であり、その状態を改善・進化させ続けることがゴールである。

 最後に、ここまで駄文をお読みいただき、「ネットを【活用】していこう」と想起いただけた読者に向け、「ネット活用の目的を達成する3つのステップ」を提言させていただく。


1.まず、ショッピングセンターや店舗という、ネット上では容易に実現できない「リアル・コミュニケーションの"場"」を有していることに、絶対的な自信と誇りを持つ。

2.次に、その「リアルな"場"」に参加できない顧客を捕捉し続けるために、「バーチャルでもコミュニケーションできる"場"」として「ネット」を位置付け、施策を講じてみる。

3.その上で、「ネット上のショッピングセンター」を、オンライン/オフラインなどという狭義のチャネル論で区分するのではなく、地域の顧客の思考・記憶の中で圧倒的なマインドシェアを有する「ノンラインな顧客参加型マーケティングの"場"」に昇華させるよう、全体最適の視点で運営する。


 末筆ながら、ショッピングセンター業界にとってまったくの新参者の当社に、このような寄稿の機会を与えてくださった編集ご担当に深謝申し上げつつ、ここまで読み進めていただいた読者諸兄のビジネスの益々のご発展を、ウェブアーク一同が心から祈念していることを表明させていただく。