2011-11-26

「日本のTwitter/Facebook利用者数が1000万超え!?」や「mixi利用者数が大幅減!?」の拡散に見る情報リテラシーの課題(追記あり)

つくづくコワさを痛感しました。

「利用者数」というコトバの独り歩きについて。


明日も早いので、たいしてソースを掘り返すこともせずに感じていることだけログっておきます。

結論というか提言

  • mixiは、広告主や株主向けの前に、登録者向けにアカウント数等を開示した方がよい。
  • ネットレイティングス社は、視聴率データの「利用者数」という表記を改めた方がよい。
  • われわれ情報の受け手は、データを鵜呑みにしない情報リテラシーを磨き続けた方がよい。

mixiは、広告主や株主向けの前に、登録者向けにアカウント数等を開示した方がよい。


よりによってこのリリースはないでしょう?残念です。

当社としましては、現在、このような誤解を与える解釈、報道等が生じる調査を行ったニールセン・ネットレイティングス社に対して、公式説明を求めております。
ヲイヲイ

誤解を与えることのない正しい情報を開示していないことを棚に上げたまま、IR主導できっちりとリーガル・チェックされたリリースとお見受けしましたが、パッと見は毅然としているように見せているものの、かえって心証を悪くしてしまっていませんか?

例えばこのリリースが、「当社としましては、毎月こちら(リンク)で開示している通り『利用者数の大幅減』については確認できておりません。(キリッ」という状況を作っておきさえすればいいわけで、そうすれば『誤解を与える』ことも起きなかったんじゃないでしょうか?


ネットレイティングス社は、視聴率データの「利用者数」という表記を改めた方がよい。


キュレーターごっこしてきた私が最初に違和感を持った発端はネットレイティングス社のリリースではありませんでしたが。。


米国の本体が英語でどう表記していようとも誤った解釈を生まないような日本語の表記に改めることが、日本市場で法人化された事業者の存在意義ではないでしょうか?

ほとんどのネットユーザーは、アクセスログ解析の専門用語など知らないわけですから。

つまり、ネットレイティングスの推測値は、「アクセス数」であり、普通にいう、登録者=利用者人数ではない、ということです。逆に言えば、Facebookのトップページみたけど、登録しないで帰りましたという人のほうが多いと言うことです。
↑こちらのブログからもリンク・引用された上で誤解が広まってしまってますけど、
↓斉藤さん、やっぱミス・リードしてると思いますよ。


情報が盛りだくさんな上に「利用者数」とか「訪問者数」とか表記がごちゃ混ぜになってしまっているので、誤解した素人さんが脊髄反射して拡散しちゃう発信源になってると言われても致し方なしかもしれませんね。


われわれ情報の受け手は、データを鵜呑みにしない情報リテラシーを磨き続けた方がよい。


そもそも、『ソーシャルメディアの第一人者』と呼ばれる斉藤さんのデータに「PV」があること自体に大きな違和感がありましたので、データ加工の労力には敬意を表しつつも最近はシリーズ記事に「いいね!」しなくなってたことを告白しておきます:-P

というように、、、

産経新聞の広告コピーではないですが、『手軽に入手できる情報は疑え』ってことを我が子らに伝え続けていくようにします。

2011-11-14

SMM:ソーシャルメディアマーケティングというよりSP:ソーシャライズドプロモーションの方がしっくりくる

EC業界に参画して得られた知見は『○○○○○○を辞めました』にまとめた通りですが、一方で捉え方の違いが明らかになったのが『マーケティング』というマジックワードの定義というかスコープ=対象範囲でして、私の捉え方はこれです。

売れる仕組みづくり=マーケティングのスコープは、

< ブランディング × セールスプロモーション × マーチャンダイジング >


日本語であれば、

< 認知・集客 × 販売促進・営業推進 × 商品企画 >


<集客力>や<販売力>の前提となる<商品力>までカバーしてこそ、マーケティング戦略・戦術を立案・実行・改善していけると考える次第です。


以前、講演した時のスライドをベースに図解するとこんな感じ



で今回は、そんな疑問の一端を表した下記ツイートをやや釣り気味のタイトルにしてみました。



2010/11/04 07:43:44
大抵の施策はソーシャルメディアマーケティングというよりソーシャライズドプロモーションの方がしっくりくる

生活者のマスメディア離れ(笑)が進み、可処分時間のシェアがモバイルを含めたインターネットにシフトしていく中でTwitterやFacebookなどのソーシャルネットワーキングツールが広まって以降、マーケティングに関しては素人同然のSEO業者・ネット専業代理店や一部のWeb制作会社あたりが

「【拡散希望】これからはソーシャルメディアマーケティングです!!!!」

といって売り込みを強めています。

当然そこでは『商品力』などお構いなし。。。
ランディングページから逆引きしてCVRまでカバーしてくれればまだマシで、せいぜいが自分たちの収益に直結するCTR・クリック数止まりだったりするわけで、そんな彼らが「とりあえず認知を広げましょう」と言って『フォロワー』を増やしたり『いいね!』してもらうことが目的化したキャンペーンが「流行ってる」と喧伝される状況を懸念しています。

これは決して余計なお世話ではなく、「流行ってるようだからお前もやれ」って言われることを恐れてます。。

例えばこんな『成功(?)事例』。。。

そのFbアプリのアクティブユーザーは?「TOKUGAWA15判定」で検証してみた:芝辻幹也のグダるブログ:ITmedia オルタナティブ・ブログ
最近診断系のアプリを活用し、短期間で数十万人ものファンを獲得したFacebookページが登場した。

「お江戸、いいね!~ I Like! EDO」だ。

なんと2011年11月13日現在で27万人以上のファンの獲得に成功している。

言葉尻に突っ込むのもアレですが、獲得したのはファンでも顧客でもなく『いいね!』ですよね?


まあ、コトバアソビと言われればそれまでですし、私が携わってきたBtoB=法人営業の場合もできあがった商品=製品・サービスを売り込むことにフォーカスして組織設計されており、前記の図であれば[メッセージ]部分の活動が主体でして、[コンバージョン]に至るステップはSFAなどのITツールで商談・案件を管理しながらセールス部隊が担うこととなり、その前段階としてセールス・リード=見込み案件を発掘・在庫化することが成果評価の対象にもなっていました。

ただやはり、顧客の獲得だけでなく維持・拡大という事業ゴールは共有していましたから、中国向けECモールのサービスを設計したり、創立以来手が付けられていなかったサポート体制を立ち上げたり、PM・ディレクターの業務プロセスを明文化したりといったような『商品力の強化』も平行して担ってきました。

また、他の業種・業態であっても、「マーチャンダイジングは“モノづくり”だからそれは開発・生産あるいは仕入部門のお仕事であって販売部門のミッションには含まれません。」という組織が多いことも確かでしょう。

しかし、“モノづくり”を生産部門だけに押し付けていては『モノが売れない時代』に生き残っていけないことは各所で危惧されていることであり、アップルやサムスンのように『モノ(マーケティングやデザイン)+つくり(テクノロジーやエンジニアリング)』という市場の近くで強い商品を生み出す体制が志向されているのではないでしょうか?

そして何より、ここまでこだわっている最大の根拠はこれです。

一体誰が、4P(Product、Price、Place、Promotion)に責任を持っているのか?

広告・販促代理店やPRエージェンシーなど、著名な『マーケター』は商品を持っている事業会社ではなくエージェントに所属している方が目立ちます。

ところが、エージェント/アソシエイトの多くは4PにおけるPromotionの部分しか担ってくれないケースが多く、どんなに優秀なコンセプターやクリエイターをアサインしようとも、「商品に強みがなかった」とか「価格競争力がなかった」といったエクスキューズが残りがちです。

「だったらそこまでカバーしてよ!」という丸投げは最悪ですし、ビジネスパートナーとしてタッグを組むエージェンシーにこのエクスキューズが生じない状況をつくることが事業会社における『マーケター』のミッションではないでしょうか?


最後にもう一つ同様のツイートと参考記事を紹介して問題意識と課題のまとめとしておきます。


2011/11/10 13:54:25
マーケティングを広報・広告・販促と捉えているデジタルマーケター> ネット部門の成果を最大化しても、マーケティングは成立しない http://t.co/MaWFG6yf

「ネット部門の成果を最大化しても、マーケティングは成立しない」─マーケティング・プロフェッショナルズ (1/3):MarkeZine(マーケジン)
青葉――デジタル領域は部署内だけで盛り上がりがちとのことですが、どうして部内だけになってしまうのでしょうか。そして、デジタルマーケッターはどのように対処していくべきなのでしょうか?

佐藤:単純に、デジタルマーケティングが面白すぎるからでしょうね。反応もすぐ取れますし。ただ、細かい技術にのめりこむのではなく、一連のマーケティングにおいてデジタルがどういうインパクトを与えていて、そこでの成果をではどこへつなげるのか、そういう視点を持てると仕事の幅も広がってくるはずです。

青葉さんの新連載、私が取り上げていただけるようになるまで続けてくださいww


日経Bizアカデミー:第5回 スタバ、ナイキ、ユニクロやベネッセなど、顧客と新次元のコラボレーションに取り組む理由とは
従来的な定義としてのマーケティングが、「顧客を創造する」活動を意味するとすれば、ソーシャル時代のマーケティングは、「顧客とともに創造する」ことが重要なキーワードになりつつあるのだ。

診断・検定系キャンペーンで集める『いいね!』や『フォロワー』を、本当の『ファン』に変えていくシナリオと仕掛けがあればいいんだと思います。


2011-11-15追記
企業サイトにゲーミフィケーションを取り入れる:事例とポイント
他社製品とサムスン製品の購入で迷っているときに、ゲーミフィケーションの仕組みがサムスン製品購入の動機になるでしょうか。もう少しで貯まったポイントがレベルアップにつながり、レベルが上がることによる特典(プレゼント、割引など)が魅力的であれば、購入を後押しする可能性があります。

検討の結果としてサムスンの製品を買った人は、購入後にまたサイトに戻って製品登録、レビュー投稿などに参加してくれる可能性があります。一度購入したユーザーをサイトに呼び戻し、ユーザー参加型のコンテンツに投稿してもうらことに成功したとすれば、ゲーミフィケーションの効果は高いといえるでしょう。


以上、異論・反論大歓迎ですが、できれば私がバイブルにしているベストセラー書籍を携えながら議論を深められると嬉しいです。(ここでポチってくれれば尚可w)

図解 実戦マーケティング戦略
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2011-11-12

#weibo からも Google+、Facebook、twitter など複数のソーシャルメディアに同時投稿できる Publish Sync


複数のソーシャルネットワーキングツールにマルチポストする際の注意点
ツール間でフォロー関係が被っている友人・知人・フォロワーがいる場合、彼ら彼女らからしてみれば「twitter見てもFacebook見ても同じ投稿してるじゃん!」といった不満を生んでしまうリスクがある点は注意した方がよいでしょう。

とは言え、多くの人に「シェアしたい」「知らせたい」情報を見つけたのに1ヶ所=1つのツールだけでシェアしても「あの日あの時あの場所で君に出逢えなかったら僕の見つけた情報を君は見知らぬままになる♪」という哀しい結果に陥りがちですし、だからと言ってそれぞれのツールに個別にアクセスして地道に投稿し続けて骨が折れる(腱鞘炎になる)のもアレです。

ということで今回は、そんなにわかキュレーターさんがワンソース・マルチユースを簡単に実現できるツールを紹介しておきます。

Publish sync for google+ & facebook



Publish Sync が便利なところ
▼IE、Firefox、Chromなどメジャーなブラウザのプラグイン/アドオンとしてインストールすれば使えます。
投稿に使うブラウザでPublish Syncのサイトにアクセスして[Install]し、マルチポストするツールを選んでアカウントを認証・設定すれば設定完了です。
TwitterやFacebookなどのマルチアカウントを管理するHootsuiteSeesmicなどの重いツールを使わずに済むところが気に入ってまして、私の場合は Google Chrom にインストールして使っています。

▼FacebookやGoogle+では公開範囲を選ぶことができ、FacebookではFacebookページやグループにも投稿できます。
Facebookの個人ウォールでは「公開」「友達まで」「友達の友達まで」、Google+では「公開」ないしは個々のサークルが選べます。

▼私の場合は主に中国版ツイッター:新浪微博からFacebook・Google+・Twitterにシェアしています。
その理由は日本語ニュースの投稿でコミュニケーションできる方がどれぐらいいるか?というテスト目的だったりしますが、リンク先の短縮URLは中国からブロックされている「bit.ly」ではなく「j.mp」を使うように配慮だけはしています。

Publish Sync が残念なところ
▼FacebookではFacebookページだけに投稿したいのに個人ウォールにも投稿されてしまう?
Facebookページやグループも投稿先として選べるのはよいのですが、個人ウォールへの投稿も必須になってしまっているようで双方のフォロワーにとってはウザいポストになってしまっています。ごめんなさい。(設定次第なのであればご教示いただければ幸いなり)

▼新浪微博はマルチポストの起点になれるが他のツールからの投稿先にはならない。
きっと投稿APIが用意されていないんでしょうね。

▼投稿先のFacebookやGoogle+ではサムネイルは表示されない。
目立つ=クリックされやすいという点から残念です。


もし設定方法で悩んでしまった方は各所のブログで紹介されていますのでご参考ください。

Twitter&Facebook&Google+に同時投稿ができるChrome拡張機能「Publish Sync」 | けんけん.com


最後に、「マルチポストはウザい!」って言われることを承知でこんなツールを使っている理由は過去記事に残しています。

1年後にユーザー数が最も多いソーシャルメディアはどれ? @tyama1965の見解(追記あり)
●日本国内における有力ソーシャルメディア、Facebook、mixi、Twitter。企業のマーケティングにおいては永続的なアカウントを「すべてで作るべき」でしょうか、「選択すべき」でしょうか。また、その理由を教えてください。
1.すべてで作るべき 1人
2.選択すべき 3人
3.必ずしもソーシャルメディアのアカウントは必要ない 3人

この3サービスであれば、1.すべてで作るべき です。

などと言いつつ、Publish Syncはmixiには対応していないんですが、mixiページとLinkedInはTwitterの投稿をポストするようにしていますので何とか稼動だけはしています。:-P

2011-11-02

2011-10 @tyama1965 的社会科見学

毎月・毎年とは限りませんがライフログとして。。


2011-10-01

foursquare :: Takashi @ 桶川小学校

運動会、風は強いけど薄曇りで観戦は楽チン


2011-10-06

第46回グローバル・マーケティング研究会「JTのグローバル・ブランド戦略」
2011/10/06 20:05:09
#gumaken 大石先生の至言出ました。> 『多角化とグローバル化は共存できない』 #t http://t.co/OTAYYTeR




2011-10-10

2011/10/10 11:06:55
今日は亡き両親の結婚記念日。結婚当初=東京オリンピック前に「体育の日」は祝日ではなかったものの、私の誕生後の1966年から祝日に。ということで父の一周忌の法事に向かいます
foursquare :: Takashi @ 新宿中村屋 本店
遅刻なう


2011-10-12

foursquare :: Takashi @ 竹内眼科クリニック
検診なう。待合室満席

2011/10/12 19:15:12
秘密オフ会スタート (@ ナラCON) [pic]: http://t.co/jvLeuPAv http://t.co/Br5E9UG8


2011-10-13

foursquare :: Takashi @ 都営新宿線 小川町駅 (S07)
セミ担終了
2011/10/13 18:15:49
クールダウン (@ カフェ・ベローチェ 新御茶ノ水店) http://t.co/2JlemVcf


2011-10-19

2011/10/19 14:20:00
女性だらけの演劇鑑賞なう #TAMAMO って、舞台観るのは幼なじみの芝居以来だからほぼ30年振りかw (@ 日本橋劇場) http://t.co/76eN5Mkc

2011/10/19 14:31:09
こちらにお邪魔しています> 「玉藻前~TAMAMO~」とは? http://t.co/3HlHUaRq #TAMAMO

foursquare :: Takashi @ なんなん


2011-10-21

2011/10/21 15:48:55
#docomo 冬モデル内覧会なう (@ 新宿NSビル w/ 5 others) http://t.co/Qk9Eoqxu


2011-10-26

2011/10/26 14:53:35
昨日開設した個人ブログに4uu。。7uu越えたら1本目行きます♪ http://t.co/D2ISxiEf

2011/10/26 15:28:25
去年は来られなかった #adtech_tokyo Social CRM Forum だけw (@ ザ・プリンス パークタワー東京 (The Prince Park Tower Tokyo) w/ 20 others) http://t.co/ewYrXtSI


2011-10-27

2011/10/27 13:03:41
竹橋・如水会館なう> 新興国で求められるマーケティング力とは?~GCOE「日本企業のマーケティング力」研究2011~|一橋大学シンポジウム http://t.co/NRFgkZw9 #GCOE


2011-10-28

2011/10/28 20:12:15
Converslon Meetup Vol.1 なう #cvmeeting (@ 株式会社 VOYAGE GROUP w/ 5 others) http://t.co/C4RkVhjN

2011-11-01

失敗するプロジェクトの多くは『戦略』と『戦術』が整合していないのではないか?(追記あり)

本日、とある方とメッセンジャーでやりとりしていた時のサマリーです。

日本に限らず海外でも、パッケージベンダーで本当のPMを任せられるとこってあり得ないので、大手SIerが入る場合は戦略レイヤーでビジネスゴールを握って巻き取るのが王道なんでしょうけど、そのレベルの人材が日本のSIerにはいないもんだから、クライアント含めてみんなで戦術・戦法で炎上してしまう件
※一部改変ご容赦

話題としてはITプロジェクトが題材でしたが、これがセールスプロモーションであればSIerは広告代理店に、パッケージベンダーは制作会社に置き換えられるでしょう。

どちらも取組んでいるのはプロジェクトです。




プロジェクトとは


プロジェクトは『期限の利益=納期』と『経済的な利益=かけられるコストと期待する効果』という制約がある中で採り得る戦術・戦法を駆使して目的を達しなければなりません。

では、ここで駆使される戦術の上位にはどのような戦略があったのでしょう?

年度や中・長期のプランやビジョンがまずあって、その実現を確かなものにするための事業戦略やマーケティング戦略があるはずです。

私が見てきた失敗プロジェクトの多くはそのようなプランあるいは戦略という『価値判断の基準』が関係者に明示・共有されていないものでした。

RFPには『ビジネスパートナーとして共に取組んでいただきたい。』といったキレイ事が書いてあったりするのですが、肝心のビジネスゴールをクライアントさえも理解できていなかったりするのですから戦術・戦法の段階で価値判断の基準はブレブレになり、要件・要望が肥大・拡散して納期もコストもオーバーし、また一つ失敗プロジェクトのでき上がりとなるわけです。

では、どうすれば戦略と戦術を整合させてプロジェクトを成功に導くことができるのでしょうか?

・クライアントはRFPにビジネスゴール(戦略レイヤー)とプロジェクトゴール(戦術レイヤー)を明記する。
・SIerやエージェンシーはその記載がなければコンペから降りる、ないしは明記するのに要する期間を提案に追加する。
・「そんな必要も時間もない」ということであれば、見積った範囲を逸脱するタスクを追加しない条件で受注する。

とまあ、いかにもな机上の空論ではありますが、杓子定規にこの通りにせずともセールスやPM・ディレクターにあたる人材がこのような受注ポリシーを共有できていればこれに近い形で受注できるようになるはずです。

「いや、そもそも戦略がないんだ。」


問題はここです。

「やりたいことは決まっているんだけど、なぜそれをやらなければならないのかがハッキリしていないんだ。」

本当に問題です。

そのような方には楠木建先生の書籍を紹介しておきます。

ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)
ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)楠木 建

東洋経済新報社 2010-04-23
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「いきなり書籍はハードルが高い!」という方は、最近のコラムで身も蓋もないことを書かれているのでよろしければどうぞ。

『ストーリーとしての競争戦略』への批判について思うこと
 まずはスキルとセンスを区別して考える必要があるというのが僕の見解です。アナリシス(分析)とシンセシス(総合)との対比でいえば、スキルというのはアナリシス的発想が前提にあります。個別の担当分野での担当者としての専門能力を磨くという話です。ファイナンスのスキルとか会計のスキルとか法務のスキルとかプレゼンテーション・スキルとか、そうしたものが必要になる。

 しかし、戦略の本質はシンセシスですから、スキルばかりを鍛えても、いい経営者を育てることはできません。ひどいことになると、「担当者の仕事」しかできない経営者、「代表取締役担当者」がでてくるという成り行きです。こうやったらセンスがつくという標準的な手法はない。センスは他者が「育てる」ものではありません。当事者がセンスある人に「育つ」のです。

他にも『戦略思考』のケーススタディのような記事がありましたのでリンクしておきます。

なぜ、結婚に後悔が集中するのか? 一生を左右する決断を間違える本当の理由
藤原:人間って、制約がないと、実は本当の意味で自由になれないんですよ。あるいは、自分の気持ちだけでは自由な判断ができない。

お辞儀と名刺交換で物は売れない 新興国で日本が苦戦する本当の理由
 ではなぜ、日本企業は、欧米企業や韓国企業と違って、意思決定のスピードが遅いのか。その原因の1つは、「日本流・超真面目コンプライアンス」にありそうだ。


うんうん、失敗しているのは我々の業界だけではないんだ!。。。

2011-11-01追記:PM・ディレクターに加え、広告やWeb制作業界ではプロデューサーとも呼ばれますね。
プロデューサー総会|渋谷ではたらく社長のアメブロ
当社におけるプロデューサーの定義は、
プロダクト(製品)の責任者であり、
その評価は厳然たる成果主義である
としました。

JD・ジョブディスクリプション、なかったんですね。。。