2011-11-01

失敗するプロジェクトの多くは『戦略』と『戦術』が整合していないのではないか?(追記あり)

本日、とある方とメッセンジャーでやりとりしていた時のサマリーです。

日本に限らず海外でも、パッケージベンダーで本当のPMを任せられるとこってあり得ないので、大手SIerが入る場合は戦略レイヤーでビジネスゴールを握って巻き取るのが王道なんでしょうけど、そのレベルの人材が日本のSIerにはいないもんだから、クライアント含めてみんなで戦術・戦法で炎上してしまう件
※一部改変ご容赦

話題としてはITプロジェクトが題材でしたが、これがセールスプロモーションであればSIerは広告代理店に、パッケージベンダーは制作会社に置き換えられるでしょう。

どちらも取組んでいるのはプロジェクトです。




プロジェクトとは


プロジェクトは『期限の利益=納期』と『経済的な利益=かけられるコストと期待する効果』という制約がある中で採り得る戦術・戦法を駆使して目的を達しなければなりません。

では、ここで駆使される戦術の上位にはどのような戦略があったのでしょう?

年度や中・長期のプランやビジョンがまずあって、その実現を確かなものにするための事業戦略やマーケティング戦略があるはずです。

私が見てきた失敗プロジェクトの多くはそのようなプランあるいは戦略という『価値判断の基準』が関係者に明示・共有されていないものでした。

RFPには『ビジネスパートナーとして共に取組んでいただきたい。』といったキレイ事が書いてあったりするのですが、肝心のビジネスゴールをクライアントさえも理解できていなかったりするのですから戦術・戦法の段階で価値判断の基準はブレブレになり、要件・要望が肥大・拡散して納期もコストもオーバーし、また一つ失敗プロジェクトのでき上がりとなるわけです。

では、どうすれば戦略と戦術を整合させてプロジェクトを成功に導くことができるのでしょうか?

・クライアントはRFPにビジネスゴール(戦略レイヤー)とプロジェクトゴール(戦術レイヤー)を明記する。
・SIerやエージェンシーはその記載がなければコンペから降りる、ないしは明記するのに要する期間を提案に追加する。
・「そんな必要も時間もない」ということであれば、見積った範囲を逸脱するタスクを追加しない条件で受注する。

とまあ、いかにもな机上の空論ではありますが、杓子定規にこの通りにせずともセールスやPM・ディレクターにあたる人材がこのような受注ポリシーを共有できていればこれに近い形で受注できるようになるはずです。

「いや、そもそも戦略がないんだ。」


問題はここです。

「やりたいことは決まっているんだけど、なぜそれをやらなければならないのかがハッキリしていないんだ。」

本当に問題です。

そのような方には楠木建先生の書籍を紹介しておきます。

ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)
ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)楠木 建

東洋経済新報社 2010-04-23
売り上げランキング : 659


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

「いきなり書籍はハードルが高い!」という方は、最近のコラムで身も蓋もないことを書かれているのでよろしければどうぞ。

『ストーリーとしての競争戦略』への批判について思うこと
 まずはスキルとセンスを区別して考える必要があるというのが僕の見解です。アナリシス(分析)とシンセシス(総合)との対比でいえば、スキルというのはアナリシス的発想が前提にあります。個別の担当分野での担当者としての専門能力を磨くという話です。ファイナンスのスキルとか会計のスキルとか法務のスキルとかプレゼンテーション・スキルとか、そうしたものが必要になる。

 しかし、戦略の本質はシンセシスですから、スキルばかりを鍛えても、いい経営者を育てることはできません。ひどいことになると、「担当者の仕事」しかできない経営者、「代表取締役担当者」がでてくるという成り行きです。こうやったらセンスがつくという標準的な手法はない。センスは他者が「育てる」ものではありません。当事者がセンスある人に「育つ」のです。

他にも『戦略思考』のケーススタディのような記事がありましたのでリンクしておきます。

なぜ、結婚に後悔が集中するのか? 一生を左右する決断を間違える本当の理由
藤原:人間って、制約がないと、実は本当の意味で自由になれないんですよ。あるいは、自分の気持ちだけでは自由な判断ができない。

お辞儀と名刺交換で物は売れない 新興国で日本が苦戦する本当の理由
 ではなぜ、日本企業は、欧米企業や韓国企業と違って、意思決定のスピードが遅いのか。その原因の1つは、「日本流・超真面目コンプライアンス」にありそうだ。


うんうん、失敗しているのは我々の業界だけではないんだ!。。。

2011-11-01追記:PM・ディレクターに加え、広告やWeb制作業界ではプロデューサーとも呼ばれますね。
プロデューサー総会|渋谷ではたらく社長のアメブロ
当社におけるプロデューサーの定義は、
プロダクト(製品)の責任者であり、
その評価は厳然たる成果主義である
としました。

JD・ジョブディスクリプション、なかったんですね。。。