以前、中国・ECフォーラムで配信したニュースにもあった海外メディアのコメントです。
一方で世界には、経済は三流だが政治は一流という国がいくつかあることも想像に難くないところであり、この評価自体も自嘲的にスルーされやすく国内でも共通認識になってしまいましたね。(それはそれで民度的にはまずいと思いつつ)
しかし、今回のTPP問題については日本の経済を二流に陥れるリスクが高いものと捉えています。
環太平洋戦略的経済連携協定 - Wikipedia
環太平洋戦略的経済連携協定(かんたいへいようせんりゃくてきけいざいれんけいきょうてい、TPP、Trans-Pacific Partnership、またはTrans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)は、加盟国の間で工業品、農業品を含む全品目の関税を撤廃し、政府調達(国や自治体による公共事業や物品・サービスの購入など)、知的財産権、労働規制、金融、医療サービスなどにおけるすべての非関税障壁を撤廃し自由化する協定[1][2]。2006年5月にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国が域外への経済的影響力を向上させることを戦略的な目的として発効し、運用している。
(中略)
TPPの発足時の目的は、「小国同士の戦略的提携によってマーケットにおけるプレゼンスを上げること」であった[4][5]。
2006年5月に4か国加盟で発効した経済連携協定であったが、2010年10月よりアメリカ主導の下に急速に推し進められることとなり、TPPの転換点と見られ加盟国・交渉国間で協議を行い2011年のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)までの妥結を目標にしている[6]。
こちらは「TPP亡国論」の著者による解説ですが、ざっくり理解するにはわかりやすいと思います。(13分程度)
自身も深くは理解できていないのアレですが、マスコミで展開されている「TPPで自由貿易推進」という表面的かつエモーショナルな論点には大きな落とし穴があるように思えてなりません。
アジアの視点がなければ、あるいは3.11の東日本大震災がなければ、このような疑問を持つことはなかったかもしれませんが、以下2つの疑問に対して納得・合意できそうな情報を探しているものの今のところ見つかっておらずという状況です。
・なぜアメリカは、リーマンショック後になってTPPに参入してきたのか?
・日本の国益にとって、貿易促進の優先度が高いのは本当にアメリカをはじめとするTPP参加国なのか?
なんにせよ、せっかく一流の地位にある日本の経済を、二流・三流に落ち込ませるようなことだけはないようにお願いしておきます。
以下蛇足ですが、先日mixiのコミュニティにコメントしてきたので転載しておきます。
自身としては、「TPPに反対」というより「中国・ASEANでの個別FTA/EPAを最優先」を支持する立場です。
おかしな官僚用語の一つに「成長戦略」がありますが、そもそもの経済成長戦略(=マーケティング戦略)において『どの地域・国』をターゲットにし、『何を売り込むのか』という方針・戦略に関する議論がまったく表に出てこないので論点が定まらないんですよね。
例えば、自動車や精密機械の「組立て」は市場の近く=海外移転したから、日本に残る「基幹部品」を「北米市場」にもっと売りたいということであればTPPないしは米国とのFTA/EPAでもよいのでしょうけど、下記記事でも紹介されている中野氏の言うように米国がさらなるドル安・円高を仕掛けてくるなら関税撤廃はいとも簡単に相殺されてしまうということですね。
そもそも論として、まず経済成長戦略には目標設定が必要だと思ってまして、
例えば、『日本の一人あたりGDPを2020年までにトップ10まで引き上げる(現時点の為替レートで)』
のような具体的な目標を我々が共有することが大事だと考えています。
その上で、どこに、何を売りたいのかというターゲットの選択肢がTPP(=ほぼ北米)や中国・ASEAN各国(アジア)とのFTA/EPAだとすれば、地政学的にも成長率的にもアジアだと考えます。
また、経済だけでなく安全保障面からも議論を、というコメントがありましたが、
・政治は経済に依存する
・国家が国民の幸福な生活を担保するには経済合理性が不可欠で、法律も外交も安全保障もその手段である
という教えを受けていますので、経済のアプローチの次のステップに食糧を含めた安全保障を位置付けつつ、米国の対中包囲網的な性格を持つTPPは、経済面・安全保障面でも優先度が低いと考えています。
【参考】中野剛志(京大准教授)の、TPP解説・批判がわかりやすすぎる! ~日本がTPPで輸出を拡大できない理由~
【参考】国の国内総生産順リスト (一人当り為替レート) - Wikipedia
うーん。真剣に海外脱出を考えないとダメなのかなぁ~
2011-10-31追記:思ったより拮抗してる
TPP「参加を」45%、反対上回る 本社世論調査 :日本経済新聞
TPPへの参加を巡っては「どちらともいえない」「いえない・わからない」が合わせて23%あり、態度を決めかねている様子もうかがえる。TPP参加への慎重論が強い自民党でも支持者の44%が参加を容認し、反対の34%を上回った。民主党支持層では賛成49%、反対34%だった。
2011-11-06追記:相当気合の入ったまとめ記事です
TPPは全世界で反対されている、自由貿易ではなく公正貿易が必要 - GIGAZINE
TPPについて、賛成とか反対とかは問題ではなく、実は問題となっているのはただ一点、「今から交渉する余地は本当にまだ残されているのか」という点のみです。「今からTPPというのを作るけど、参加する?」と誘いを受けているのであれば、交渉に参加するか否かというのが問題になります。ところが既に交渉が開始されており、しかも当初の予定では既に交渉の中身自体を終えるスケジュールになっているにもかかわらず、終盤になって途中から「交渉に参加するか否か」を問題にするのは論外です。